登場人物
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早川/松村生活/null


2021/02/27収録

早川
よろしくお願いします!
今回は3人でやっていきます。既にお二人ともALTSLUMで執筆いただいてますが、まずは自己紹介からお願いできますか?

松村生活
はい。主に漫画を描いたり寝込んだりしている松村生活です。生活学習というアカウントで『うにさんと私』という漫画描いてました。

null
お話しするのは初めましてですね!nullと申します。猫と数学が好きなうつ治療中の会社員です。

松村生活
あ!私もうつです!おそろいですね。宜しくお願いします。

早川
重ねてですがよろしくお願いします!今日は気圧もキツい(気がする)し夜分遅めですが、ゆったりやっていければと思います。

松村生活
夜の方が調子が良いので助かります!

null
同じくです笑。

松村生活
そもそもの話でなんですが、「ブラックジョーク」って今でも使うんですかね。ブラックにbadな意味合いを持たせるのよくないなと思って「ブラック企業」とかも極力使わないようにしているのですが。1

早川
自分はあんまり使わないですね。ネガティブイメージもそうだけど、そもそも「ブラックジョーク」という言葉を使う機会がないっていうか。別の言葉で置き換えてます。

null
ブラックな笑いとかは聞きますね。その「ブラック」が意味するところは何なのか(ホワイトに対するブラックなら何をホワイトとしているのか)が重要な気がします。

松村生活
私としてはこの対談のタイトルに「ブラックジョーク」が最初にくるのは良くないんじゃないかと思います。

早川
ですね。記事にするときのタイトルはぼんやりと決めてて、「Twitterでろくでもない冗談を言ってしまう問題」っていうのが発案者(実は私ではない)の意図するメイントピックかなとも思ってるので。

松村生活
そうですね、そのメインの内容の方がタイトルに来る方が良いんじゃないかなと私も思います。

null
面白いこと言ったもん勝ちみたいになりがちですよね、Twitter。

松村生活
バズると面倒臭いので私は極力バズりたくないですね。バズり目的で「そういうこと」を言ってしまうのかどうかは個々によると思うので分かりませんが。

早川
数字が数字を呼ぶバズのしくみと、それを追求するときの方法っていうのはきびしいなあと常に思ってます。TwitterやYouTubeだと余計にイヤな感じになりやすいイメージある。

null
本当に、私はTwitterのフォロー数フォロワー数とかも見たくないんですよね その人の言っていることを受け取る際にノイズになるので。キャッチーな短文をしたためる広告代理店的なセンスのある人がバズり、バズって気が大きくなってさらに声がデカくなる、ほんとイヤですtwitter。

松村生活
(最近だと地震に関連して過去に人が殺されているような人種差別のデマを持ち出す悪質な「冗談」があったようですが、実は私のTLには流れてこなかったので誰がどういう事をどれくらい言ったのか知らないんですよね……)(多分ブロックしてた……)
↑果たして「冗談」なんですかね?

インターネットに溢れている沢山の定型文(漫画の台詞の改変等)を用いた悪質な「冗談」はよく見ますが、冗談としてのレベルが低いので「一体誰に向けたものなのかな」と不思議に思います。

早川
じょうだん
【冗談】
ふざけて言う話。転じて、ふざけてする事。
 「―がすぎる」
辞書的にはこうですけど、それ以前に愉快/不愉快の感情で判断したいですね。その類のツイートであれば私なら後者ですし、不愉快にとどまるものでもないです。

null
地震の件は、歴史を知っていて冗談かませる俺ドヤァなのかなと思いました、ただの害悪ですが。

早川
「いやいや冗談だってば~」という逃げ道をなくしたいので、言葉尻ではないところから攻めたいという気持ち。

松村生活
「一体誰に向けたものなのか」→そのインターネット定型文を共有している者に向けた内輪的な「冗談」なのでしょうか。それが「外」から批判されると「ネタにマジレスするな」となるのでしょうか……。「ネタにマジレス」も定型文ですが。

null
インターネットの笑いというのも苦手ですね……。同じコードを共有する者だけがわかる笑いという内輪感。ネタ化しようと思えば何でもネタ化できてしまうので、笑いにするというのは議論そのものを無効化するかなり厄介なものだと思ってます。

あと冗談がわかるやつがかっこいい、わからん奴は無粋、みたいな風潮もよくないと思います。人それぞれ事情があって何を切実に捉えるかは違うのでそんな一般化できないだろという……。

松村生活
その内輪の輪の中にいない(と思っている、もしくはこの程度なら大丈夫と舐めている)者を公共の場(Twitter)で貶めるような悪質な「冗談」って、笑える笑えない面白い面白くない以前の問題ですよね。単純に失礼で邪悪。

単純に失礼で邪悪なものを目の前に出されて、それで怒ったら「ネタだから」って言われても何の言い訳にもならない。だから何、と思う。

null
毎回外から批判してそれ面白くないですよと気づかせてあげないといけない……。

早川
面白くないしそれ以前にふつうに邪悪ですよ、ということを分かりやすく説明するのがほんと疲れる。

松村生活
ある種面白かったとしても駄目な場合もある。リトルブリテンとかモンティパイソンとかの中の色々なコントとか。その「冗談」の面白さとは関係無く、駄目なものは駄目。少しでも誰かを踏み躙るような、差別を扇動するようなもの等だったら。

null
確かに、面白いかと良いか悪いかは分けて見ないとですね。じゃないとまんまと面白さに引きずられる。

早川
そもそも差別的なコミュニケーションになりうる冗談っていうのを、「ほんとはいけないけどおもしろいな」と思えないんですよね。これは好みの話かもしれないけど、笑えるか笑えないかで言っても自分は笑えないことが多い。

null
そうですね、まず引いてしまいます。

松村生活
何が面白いのかなって思う事が多い。(リトルブリテンとモンティパイソンはだいぶ観て笑いましたが……でも笑った後で「いや駄目だろ」って思うし、今思い出しても駄目なもの多いと思う……)

null
笑いというのが、そのコミュニティのコードを顕にしている場面に出くわすこともありますね。ここではジェンダー規範に沿わない男性をホモいじりしてもOKというコードが敷かれているのか……とか絶望すること多いです。

松村生活
ああー、職場の飲み会とかでたまに遭遇するやつだ。あれは嫌だ。

早川
親戚に相当する人物にそういう人がいて、マジで参ってます。

松村生活
ああー!私も親戚にいます!

null
なんか共有されてるんですよね、これはOKだろうという意識が。

松村生活
父方親族に会うのが嫌で正月にうつになる、を繰り返しました。今はいよいよ「障害者なんやな」という事で「配慮」されるようになったのか、正月集まり免除になりましたが……本当に嫌だった、あの空間は……。

null
それはダメでしょと言い出しにくい、逆らい難い権力を持った人がいる場で起こりやすい現象なのかなぁ

松村生活
そうですね、権力関係が浮き出ますね。

null
単なる同調圧力なのか。実際twitterでリアルの知り合いがそういう発言してるの見ると、即フォロー外しちゃうんですよね……それダメだよと言う気力すら沸かない……。

早川
職場でも親戚でも、差別的な問題であれば自分は結構口出ししちゃいます。でもメチャ体力使うから、できないときもあるっちゃあるな。Twitterだといったんミュートにしがちですね……。

null
対面だったら私も言うと思います。twitterだとまず視界から消して自分を守ろうとしてしまう。

松村生活
私もすぐ「は!?」って言う方ですね、リアルだと。Twitterだと……。個人サイト時代から10年以上追いかけてた漫画家さんが最近反トランスな酷い事を言うようになって、フォロー外しました……。Twitterだと、私もまず視界から消すのが優先ですね(一応通報もして)。

null
自分のメンタルを守ることは大事なのでそれ自体は仕方ないと思うんです。だからこそ、私はそれはダメだと思うということを常々自発的に言っていく必要があるなぁと。

松村生活
そうですね、精神守りたい。守りつつ「私はそれ駄目だと思う」って言ってくの大事。

null
知り合いの鍵垢のツイートも、大手垢のツイートも、ダメなもんはダメでジャッジ自体に差があるべきではないと思います。ただそのツイートの影響力などを考えたときに自分がとるべきアクションは変わってくると思いますね。

早川
「私はそれ駄目だと思う」を表明するときの冴えたやり方っていうの、最近の個人的なテーマです。相手が真に邪悪だと感じたら是正したいし、そもそも議論に持ち込む前に大枠で正したいというか。これは「個人の好み」では済まされない問題に限りますが。

「意見がぶつかった敵同士」ではなく「味方からツッコミを受けた」ような形式にしたいっていうのかな……。

松村生活
(私は漫画で「あの時のこと許してへんぞ」みたいな事を割とよくやっていますね……表明手段としてよく漫画にします……)

null
私はtwitterで正しいことを言おうとするのがもう無理なんじゃないかと思ってしまってますね。まともな議論ができる場ではない。創作のパワーめちゃ大きいと思います。自分の発信拠点、メディアを持つの大事ですね。

松村生活
「味方からツッコミを受けた」ような形式、とは、どういう感じでしょうか?

早川
たとえば「性差別的なジョーク」とされるものを使った人に「それはダメだろ」と意見を示すとき、相手方から「オッ、ポリコレ棒で叩いてくるのか?」と感じられないような言葉選びをしたいんですよね。

松村生活
そ、それめっちゃ難しくないですか!?相手次第なとこもありますよね!?

早川
めっちゃ難しいんですよ。わざわざ相手の気持ちを考えてあげてキレイに怒るのが正しいとも思ってないんですけど、「相手が音を上げるまで批判したら勝ち」とも思ってないので。

null
具体的に誰が踏みにじられるのかが想像できないと、ポリコレ棒みたいな漠然としたイメージになってしまうのかなぁ。

松村生活
でも難しい道の模索は大事かもしれませんね。私も心掛けたいところですそれは。

早川
これ結構、特定の場合のみに適用される狭い例かもしんないな。おそらく「性差別はダメだろ」をやる時点で私は相手方にとって内輪の「外」たる存在であって、「さては貴様サヨクだな」とか「フェミだな」とかの雑なカテゴライズで片付けられる可能性があるじゃないですか。そうじゃなくて、全カテゴリの親である「人間」として受け取ってもらいたいんですよ。

松村生活
成程。

null
ああ、「またフェミがキレてる」問題……。

松村生活
でもやはり相手の考え次第な部分が多くて難しそうですね。

null
相手のためにこちらの怒りを抑えて優しくお願いするのは絶対嫌ですね。

早川
怒りを抑えなくても強すぎる言葉は抑えられるかもな~~~余裕あったらそうしよ! って思ってます(もちろん自分にしか適用せんけど)。

null
まあでもフラットな人間なんていないですけどね、思想的偏りがないことをスマートだというような考えがまず間違っている……。

松村生活
物語で伝えるのは労力が入りますが、例えば『バクちゃん』や『ロスト・ラッド・ロンドン』や『無敵の未来大作戦』等は割と人種差別や性差別等について、先程の早川さんのおっしゃる「人間として受け取って貰いたい」というのをやっている気がします(私的には)
(ビームのまわしものみたいなチョイスになってしまった)。

null
想像力を養うためにフィクションは本当に大事だと思います。

松村生活
想像力は無限のようで、カーテンが沢山かかってますからね。そのカーテンを捲るきっかけにはなるかもしれません。これも人による。

早川
アダム・マッケイの『バイス』がこの「人間として~」の話にちょっと近いところあって、「その態度、貴様さてはリベラルだな」「真実を追求するだけでリベラルと呼ぶならそれでも結構」というような議論シーンがあった(ような記憶がある)

松村生活
相手が「さてはサヨクだな」「フェミだな」で想像力のカーテン閉めて終わりにしてしまうのを防げたらいいのにな、という感じでしょうか?

null
それほんと一筋縄ではいかない問題ですよね…個人にできることには限界がある気もする。

早川
ですね。できればサクッとカーテン捲くるか閉めないようにさせたい(できればでしかない)。

松村生活
難しいですね!

早川
リアルならまだしもTwitterじゃほぼ無理なんですよね。議論に適したプラットフォームじゃないし。

松村生活
一朝一夕にはいかなくても徐々に出来たらいいですね、皆で徐々に。

null
社会全体が変化しているというのは間違いないので、そこと地続きだと気づいてもらいたいですね。

松村生活
そうですね、間に崖があるわけでもなし。

null
森さん世界中から非難されたよね、とか大坂なおみ選手がこういうアクションをしたよね、とか具体的な事実ベースで話すとか。なんにせよその場で説き伏せるというやり方はうまくいかないと思うので、長い目で見ていくしかないんだろうなぁ。私自身の考えも、1年前と今とでは全然違っているし。

null
どうでもいいですが私はPUIPUIモルカーもブラックユーモアの感じがして苦手です(造形はかわいい)。

早川
ああわかる、造形はかわいいけど「かわいそがり」を楽しむ?のがちょっと厳しい。

松村生活
鳴き声に集中してて物語よく見てなかったな……でもあの洗車でキレイになった子が茶色からプラチナブロンドになってしまうのはどうなんだ?と思いました。中国で前に批判された黒人が洗濯機で洗われるCMを思い出した(あのシーンはウォレスとグルミットのパロディなんでしたっけ?)。
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/160530/mcb1605302000019-n1.htm

null
本当にこれ以上涙を流すモルカーを見たくない笑。見た目は可愛いのにストーリーは人間の残酷さを描いている、みたいなの多いですがだからなんだよと思ってしまう…別に面白くない…(好みの問題かもです)。

早川
警官がワッて乗っかってくるシーンもうわ~~って思いましたね。

null
モルカーはモルカーのままで可愛いのに……。でもこんだけバズるってことは「かわいさ」と「毒」の組み合わせは人気があるのかなぁ。すみません脱線しました。

松村生活
警官がわーって乗るシーン、現実に制圧死とかあったのに誰も「これはしゃれにならんやろ」ってならんかったんかなと思った(車だから色んな作品で二次創作しやすいですよね、モルカー)。

null
かわいさでその辺りの危うさをやっつけているのもどうなんだろう…と思えてきましたモルカー……。

早川
動物でクルマだから何やってもいい、みたいな感じも良くない気がしてきた。

松村生活
あと直近で触れたクソみたいな「冗談」は「#五条悟に乱暴された方繋がりませんか」というハッシュタグがトレンドになってた事かな。

早川
トレンドはほんと地雷だらけですね……。

null
私はそういうトレンドを目にしないためにtwitterの国設定を適当に日本以外の国にしてます。

松村生活
あ、私もカナダのトレンドにしてるんですけど、カナダでも「Gojo」がトレンドになってて目にしてしまった……。性犯罪軽視が伝わってくる内輪ノリのタグ。

null
なんてこった……。それも、使ってる人たちにして見れば別に2次元の話だし何が問題なの?って感じなんでしょうか……。もう、まともに人権教育する前にtwitterやらせるなという気持ちになってきました。

松村生活
尽く「内輪ノリ」なんでしょうね。漫画読んでれば(森林伐採の件だと)分かるんだからいいでしょ、という。Twitterは公共の場ですが……。

null
森林伐採の話なんですね…原作未読なので完全に性的な意味だと思ってました

早川
ちょっと別問題だけど、「表現の自由」という言葉で聖域らしきものを作ってるのも許せないですね。二次元だからいいっしょ、というやつ

松村生活
ああ、そうですね。「芸術無罪」とかも。批判する自由もあるのが表現の自由なんですけどね。

null
表現するからには誰かを傷つける可能性があるのは自明だと思います その責任と表現の自由はセットのはず。

松村生活
そうですね、私もそう思います。

null
「言論の自由」とか言って批判をかわそうとする田端大学みたいなやついますねぇ……。言いたい放題言って批判は「言論の自由」でねじ伏せる炎上芸人。

早川
結構伸びちゃったのでぼちぼちまとめていきましょうか……「精神守りつつ『私はそれ駄目だと思う』って言ってく」とか、長い目で見てゆっくりやっていくとかっていうのがメイントピックに沿ったポイントになったかと思いました。個人的にはとりあえず「読もう!コミックビーム」という気持ちになりました

松村生活
やったー。

null
内輪の笑いで楽しんでいる人を外側から変えようとするのはやはり難しい。その人自身が自分で気づくように長い目で働きかけていく必要がありそう。

松村生活
興味深い議題にも関わらず、中々よい引き出しを引っ張り出せず、すいません。しかしお2人とお話出来て「なるほどー!」と思った事もあったので良い経験でした。ccc-audienceを追うのも面白かったです。

null
audience2の方にあった、「面白くない」だけじゃなく「それダメだよ」も言わないといけないというのはその通りだと思いました。「面白くない」は相手の土俵に合わせにいってるだけで、問題はそこじゃないので。本当に興味深いお話たくさんありました。

早川
このあたりで締めます! おふたりともお疲れ様でした。

松村生活
ありがとうございました!お疲れ様です!

null
ありがとうございましたー!

#09 End

  1. 募集段階では「ツイッター上でのブラックジョークについて」という議題だった
  2. ALTSLUM Discord上にあるCCCをリアルタイムで見ながら喋ることが目的のチャットルームのこと。