Waniwave 2022 Best game

 ツイッターには投稿したんですが、もうちょっと詳しく書いてもいいなとおもったのでいくつかのゲームの感想を詳しくやっていく。ランキングを投稿してから半月とちょっと経過するけど、いろいろ語りたいゲーム、そうでもないゲームなどあるので、全部について書くわけではない。あとここに入ってないゲームについても書く。

Disco Elysium

https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000053530.html

https://www.playstation.com/ja-jp/games/disco-elysium/

 このゲームについてのレビューをながいこと書こうとしているんだけど、何を書くべきなのかまとまらずに文章がぐちゃぐちゃになってしまい、うまく書けないということがしばらくずっと続いている。たぶん、プレイする人によって見るところが色々変わる作品なんだろう。表層的には中年男性の錯乱と男性性の崩壊、そして自我の再構築の物語と見ることができる。または現実に起こりうる政治的衝突の戯画化としても読むことができるかもしれない。(タイトル通り)世界はディスコなのだから踊るしかないという話なのかと思わせておいて、それはものすごく幼稚なのではないか?という問い掛けもある。虚無主義的で人を寄せ付けない恐ろしい作品かのようにも見えるが、キュートでハートフルなコメディーでもある。(余談だが村上春樹の「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」というタイトルは本作にうってつけであるように思う)

膨大な文章量のほとんどがフレーバーであり、本筋に関係する部分はもしかしたら一割にも満たないかもしれない。だからフレーバーを収集するのが好きなRPGプレイヤーには刺さる作品だろう。美しいグラフィック、ユーモアに満ちた文章(そして素晴らしすぎる日本語翻訳)、もし小説だったらピンチョンみたいに上下巻あわせて1万円ぐらいのでけえ本で出さねばならなかっただろうから(それでも足りないかもしれない)、こういう作品がたった数千円(PC版はセールだと1000円ちょい!)で遊べるというのはビデオゲームの優れた点だ。ゲームはありとあらゆるものの敷居を下げ、領域を跨ぎやすくして、興味のないことでも体験を通して愉しみながら消費することができる。題材の難解さに対する消費の容易さという点において、ビデオゲームはありとあらゆるアートフォームの中でもかなり大衆に開かれた側のものだろうし、だからこそ自分はビデオゲームというものに固執してるんだな、ということを再確認させてもらった。

Marvel Snap

https://apps.apple.com/jp/app/marvel-snap-%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB-%E3%82%B9%E3%83%8A%E3%83%83%E3%83%97/id1592081003

https://play.google.com/store/apps/details?id=com.nvsgames.snap&hl=ja&gl=US

前にもいろいろ書いたので詳しくは割愛するが、ルール把握が難しいしデッキ構築などプレイの敷居が高いカードゲームというジャンルにおいて、革命的にわかりやすく、遊びやすい作品だ。とはいえカードプールが広がるにつれて少々理不尽に感じられる点も多くなってきたので(たとえばパワーカードが得られるかどうかが完全に運で決まってしまう点はよろしくない)さまざまなルールが追加され、遊び方が多様化するといいとおもう。個人的には、ドラフトをやってみたい。

ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク

https://store.playstation.com/ja-jp/product/JP9000-CUSA34392_00-GOWRAGNAROK00000/

マジで戦いのことしか知らん暴力おじさんが頑張って父親になろうとする二部作の第二部。描こうとしているテーマはありきたりではあるんだが神話モチーフの壮大な世界観や戦闘表現、なにより全編ほぼ途切れないワンカット演出による凄まじい臨場感でそれなりに感情移入させられる。戦闘も楽しいし、お金のかかったゲームを遊びたいプレイヤーにとってはたまらない、今年一番ゴージャスな作品だった。こういうの遊べるってのがPS5持っとくっていう利点なんだろうな。PS5は入手性も低く、定価も高いのであんまり「開かれた」とは言いづらいんだが、来年ぐらいには手に入れやすくなってるといいなと思う。

Gamedec

 未来、誰もがインターネットに繋がり、フルダイブでネットゲームするようになった世界で「ネットゲーム内探偵」として様々な事件を解決するというゲーム。仮想現実ものサイバーパンクということで、めちゃくちゃフィリップ・K・ディックっぽいシチュエーションが出てきたりなど、奇をてらわずまっすぐに「おれたちのやりたいサイバーパンク」をしてくれてるところがよいところ。難点はちょい短いところ。小粒でよい作品だとおもうし、身の回りの人間がだれもやってないのでツイッターでは高順位にした。

Overwatch 2

https://overwatch.blizzard.com/ja-jp/

出た当初は「やっぱオーバーウォッチっておもろいな~めちゃめちゃ遊ぼ~」と思ってたんだけど全然やってないっすね。Switchなどでも遊べるのでいつか布教したい、でも布教するほどやってない。基本は楽しいゲームだとおもうのだが、こういう役割別の対人ゲームにありがちな「とてつもないギスり」を生み出しやすい作品としても知られる。スプラとちがってこっちはゲーム内VCやチャットもあるので、ギスりが可視化されてよくない。ガチるわけでないなら、野良ではあんまりやらず、友人と遊ぶのがよいと思います……(ひどいときは意に沿わないキャラをピックするだけで罵倒される)。いや、いいゲームですよ!

Vampire Survivors

 久々に実績埋めるほど遊んだゲームなんだけれど、自分でも何がおもしろくてそんなに遊んだのかよくわからない。ただ、なぜか夢中で遊んでしまうなにかが本作にはあり、さまざまなプレイヤーを虜にしている。発売は去年なんだけど、正式リリースが今年なので入れました。一年経ってもかわらずおもしろいので偉い。あとDLCも出ました。

Cult of the Lamb

https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000047972.html

https://store.playstation.com/ja-jp/product/UP3643-PPSA06464_00-6576653892496327

https://www.xbox.com/ja-JP/games/store/cult-of-the-lamb/9PNLPMP1GGH5

 あまりにかわいすぎてぬいぐるみまで買ってしまった、世界でもっともかわいいゲーム。かわいいだけではなく邪悪。つまり最高ということだね。ゲームとしてはめんどいしアクションがめっちゃいいわけでもないという感じで、なんというか普通なんだけど、とにかくかわいさが飛び抜けており、かわいいので遊べる。かわいいオブザイヤーです。

Kentucky Route Zero: PC Edition

有志による日本語パッチによってようやく遊べる感じになった。MODの導入など、くわしいことはねとらぼに書いたのでそちらを参照されたし。とにかく難解なゲームで、その難解さは(よく“難解”と表現される)Disco Elysiumの比ではない。ただ漫然とやってたらめっちゃわけわかんねえゲームだと思う。解釈するというか、どちらかといえば詩のように、フローを楽しむ作品なんじゃないかな。一応「こういう話なのではないか」というのも自分の中にはあるにはある。すさまじく幻想的なゲームだし、他に類がないんじゃないかな。

まとめ

 今年はビデオゲームプレイヤーにとってはものすごく豊作で(毎年言っているような気はする)とても実り多い一年だった。エルデンリングやゴッド・オブ・ウォー、フォビドゥンガンダムウェストのような大ボリューム/スケールの作品もありつつ、KR0やDisco Elysiumのような嬉しい翻訳もあり、Marvel Snapのようなモバイルゲームの傑作も産まれ、言う事ないですね。ここ数年はビデオゲームにとっておそらくゴールデンエイジであり、今ゲーマーであるということはとても恵まれたことだ。また、実況動画やDiscordをつかったフレンド間配信など、遊び方自体も多様化してきているように感じる。原理主義的に「ゲーマーは難しいゲームを自力クリアするのが一番おもろいんだよ!!!」みたいなこと言う人もさすがに結構減ってきた印象がある。

ゲームは初期投資こそかかるものの(最も安い現世代ゲーム機械であるSwitchやXBOX series Sを買うのに3万円かかる)頻繁に行われるセールなどを総合して考えると、かなり安上がりな部類の趣味だろう。ALTSLUMでも個人的にも、おもしろくて安いゲームの情報は積極的に共有していこうとおもうので、今までビデオゲームに興味なかったような人も、手にとって遊んでみてほしい。質問あったらDiscordできいてくれれば答えるので~。