KATE 「綾波レイ、はじめての口紅」

 今まで、全てのタイアップコラボを心の底で許してないが、これだけは、認めてもいいかもしれない。

 いや、でも正直、本当にこれまでのエヴァのCMは自分にとってつらすぎるものがあった。主にゲンドウな。髭がなくなったゲンドウな。もはや、30年以上も生きてりゃ、「CM」という形で、コンテンツに企業が入り込んでいじくりまわしてる光景を見るのも別に「まーしょーがないよねー」で済んでいたし、実は一回も新・劇場版のエヴァを観ていない俺にとって、エヴァというコンテンツそのものがどうでもよくなってもいたが、たまに目に入る画像にまだ中学生の俺がため息をついていた。気持ち悪いですね。でも本心だ。ゴッチも前に「This is America」をネタにいろいろ書いてたなあ、ってことを思い出したり。

 だけど、映画館とかでエヴァの最後の劇場版のCMとかが流れると、「はーやっと終わるのか」以外の感情として、やっぱ他の映画の宣伝と比べても、普通にかっこいいなと思ったのだ。とりあえず全部見てやるか、見届けてやるか、って偉そうな気持ちになってきた。

 それで、口紅の話だ。自分は、男で、「口紅」ってのが女性にとってどういう意味を持つのか、あまり定義づける立場にはない。化粧についても、何一つ言葉を持っていないが、おおよそ「口紅」を塗った、あるいは塗ったのが目立つ人にはどこかちょっと、「美しい」というより「強い」というようなイメージを持つ。誘惑の道具、なんかではなく、ひとりの立派な大人のようなたたずまいを得るような気がするのだ。もちろん、口紅なんかしなくても「独立」も「大人」も表現しえるだろう。

 だけど、口紅は、女性にとっての「武器」のひとつ、と考えればどうだろか。俺は就職するとき、スーツや身だしなみを「戦闘服」だと教わった記憶がある。それ自体は正直くだらないと思う。だけど、きっと女性は、男性より、辛い戦場の中で戦っていることは、こと昨今の権利問題からしてもわかることだ。というか、いまだに権利格差が、性別による所得金額格差が、自殺率みたいなシャレにならない数値からもわかるくらいはびこっていて、いまだそのくだらない「戦場」をサヴァイヴするヒトビトは存在する。戦を終わらせる必要もある。だけど非力な俺は、戦場を生きて突破しようとする戦士に時々「美」を見出す。

そういえば女性ラッパーがちびうさのブリンブリンを付けてるみたいなツイートを見たな。俺がここで言いたいことはそのことに近いともいえる、とおもう。)

 そして、綾波レイという、主体性のない人形のようなキャラが、長い時を経て、あの旧劇場版のセリフそのままに、自立していく一瞬をとらえるようなCMに、自分は今年もっと美しい「口紅」を見た。
もう彼女は離れていくのだから。
女は男の所有物じゃないから。

「わたしは、あなたじゃ、ないもの」(旧劇場版)。

武器を取り、人形はもう「大人」になり、私だけの個性を得る。
私だけが私をコントロールする。
no more rulesが本当の意味を得る。