ワニウエイブが最近やったゲームまとめ:XENOBLADE3やりましたね

ゼノブレイド3やりました。一応エンディングも見ました。途中で「これは放っておいたら一生クリアできない」という直感a.k.a神託が働き、非常に焦ってプレイしたという経緯がある。結論からいうとかなりノットフォーミーなゲームでした。よく作られているように感じられる部分とどうしようもない部分……主にストーリーの乖離が大変なことになっている。ストーリーだけ取り出して見ると単に不出来なだけだと思うんだけど、最大の問題なのはその“語り方”で、とにかく異様に引き伸ばされた冗長なテンポで物語が展開していく。なんだったら「引き伸ばしたほうがエモいやろ」と思っているまである。後半部でボス戦→ムービー→ボス戦→ムービーが連続するパートがあるんだけど、ここほんとひどくて「今から泣ける展開になりますよ」という説明のために本当に動きのないシーンとともにスローテンポの歌が流れる。都合体感2時間ぐらいムービーとボス戦に費やされるわけなんですが、同じ時間で「ダイ・ハード」が見れる(上映時間132分)。もちろん、より感情を動かされるのは「ダイ・ハード」のほうですね。二時間あれば大抵のことは語りきれるはずだが、ゼノブレイド3では二時間で「死にそうだった人が死ななかったです」ということが語られるだけだった。なんか理由も説明されるんだけどマジで一切理解できない(それがアリならなんでもアリでは?というトンデモ理屈だった)。

一応ストーリーの概略を説明すると(今からゼノブレイド3をやりたいという人は読まないほうが楽しめると思うけど、オレは何の説明も読まずにプレイして特に楽しめていないので誤差なんじゃないかな)、本作の世界ではケヴェスとアグヌスという二勢力が長きにわたり戦争状態にあり、主人公たちはその中で使い捨ての兵士として文字通り「育成」されている。主人公たちは強制的に成長させられ10年で寿命を迎えることになっている。なぜ10年で寿命を迎える必要があるのかは最後までよくわかんなかったし、まあとにかく悲劇性を際立たせるためだけの設定であって、あんまり真剣に考えてもしょうがないと思う。「わたしを離さないで」とか「スカイ・クロラ」みたいな設定だと感じた。ちなみにどっちもあんまり好きな作品ではない。極端に絶望的な前提を敷くというのはよくディストピアSFで用いられる手法で、要は現実の絶望をわかりやすく戯画化したものなんだけど、あまりに極端すぎると今度は例え話としての機能を失ってしまう。ゼノブレイド3はそもそも例え話として作られてはいないとおもうので、まあやっぱ、悲劇のための悲劇という感が否めないですね。

で、実はその戦争状態というのが「メビウス」という悪い奴らによって作り出されたものである、ということが発覚する(メビウスさんサイドがなぜか全部喋って説明してくれる)。主人公たちはメビウスと戦っていくことになり、その中でケヴェスとアグヌスという両勢力の誤解も解けていくことになる……と、これだけ聞くとなんかいい話っぽいし、オレも「戦争はつくられたもので兵士たちに殺し合う理由はない」という論旨には大まかに賛成ではあるけど、語り方がスマートじゃないので最後まで共感することはできなかった。主人公たちは「ウロボロス」になることでメビウスと戦う能力を手にすることになる。このあたりかなりハチャメチャ、かつ敵側の行動原理も意味不明で、いまだに納得できてないです(例えばメビウスは最初の時点で敵対せずウロボロス側を篭絡すればよかったのでは)。

物語は最終的に現状の世界を肯定する論理=メビウス=保守的なものVS現状の仕組みを破壊する=ウロボロス=革新的なもの、という戦いになっていき「現状維持をよしとしない」ということが主人公たちのモチベーションとなっていく(実際「変化がないことをよしとしない」という旨のことをめっちゃ言いまくる)のだが、その「現状維持」VS「革新」という対立軸の設定が完全に破綻している。なにせ「現状維持」側の「現状維持」が意味することは「10年縛りの寿命の人間を戦争させつづける」というすげえ極端な方法をとりつづけるということなので、それが現状維持的であるかどうかとかそういうレベルの問題ではない。たとえばすげえ平和な状態が現状維持されつづけているなら、それは最高なわけじゃん。そのあたりが奇妙に無視されて「現状維持的であることそのもの」が悪であるかのような飛躍をする、有り体にいって“誤った”ストーリーだった。

あと人造人間である主人公たちは中盤で「生命の素晴らしさ」に触れ、これが「自然の生命のあるべき形なのだ」と学ぶシーンがあるんですが、そこがマジでめちゃくちゃキモかった。まず街にやってきた人たちをいきなり病院に連れて行って生まれたての赤子を見せるという行為の意味がまったくわからない。あと出産、生命の神秘、生命の営み、最高!みたいなのも完全に時代錯誤的な価値観でキモすぎる、どっちが保守なんだ。この時点でかなりやる気がなくなりました。

ほかにもいきなり「戦闘することが人生の意味である」ということに目覚めた登場人物がすごい勢いで戦いだすくだりがあるんですけど、ここが意味不明で、ここでゼノブレイド3というゲームに完璧に置き去りにされた感がある。製作者の中でだけ筋が通っている(らしい)破綻した話を延々見せられるこまったゲームでした。シェンムーとかレベル5のゲームとか、そういうシナリオ書いてる人の脳内だけでしか成立しないというタイプの、とんでもゲームだと思います。とんでもゲームがやりたい人にはかろうじておすすめできるが、先述したストーリーのテンポの問題がありせっかちな人には向かないと思う。いや、ほんと最大の難点はテンポで、ただでさえ理解できないし破綻してる話をめちゃくちゃ引き伸ばされて語られると、苦痛が倍加してしまう。べつに破綻してても一瞬で終われば苦痛じゃないわけだし、むしろキュートと感じられるかもしれない。テンポがほんと、一番の問題だとおもいます。

ゲーム内容自体は、フィールドも広いし、ジョブシステムみたいなやつもそれなりにやる気出るし、面白いといえなくもないよく出来た部分はあるとおもうんだけど、それだけで遊ぶにはなかなか無理のあるゲームだった。あんまやんないでいいと思う。ゼノブレイドは一応初代、2、3と全部遊んではいるんだけど、初代が一番よくて、あとはどんどん悪くなっていってる気がするな。初代もそんなによくはないんですが……。

https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000053335.html

もし買う場合はカタログチケットと併用したほうが絶対に得なのでそうするように。現場からは以上でした。