約束の時間に間に合いたい

遅刻癖といってもいろいろある。約束の時間に毎回20分ほど遅れてしまうだとか、ワンシーズンに一度は4時間以上の遅刻をしてしまうだとか。
私の遅刻癖は、約束の時間に間に合うこともままあるけれど実はそこに至るまでに一つ以上の遅刻を重ねているというものだ。具体的にいうと、最寄駅へ行くために乗らねばならないバスに乗り遅れてしまって、混乱した頭で徒歩25分の道をダッシュしてゼエゼエいいながら電車に乗り、約束の時間に何とか間に合ったり間に合わなかったりする。
結局間に合うこともあるならいいじゃん、といわれそうな気がするけれど、私はいつも約束の時間に間に合いたいのである。100%の確率で10分前には着いていたいのだ。忘れものもしたくないし、エアコンのスイッチもちゃんと消していきたい。

こうして24年間変わらなかった私と遅刻癖との関係に、なんと変化が訪れた。三週間ぐらい前にみつけたとある方法を使うと、一度の遅刻もせずに約束の時間に辿り着けることに気づいたのである(いまのところ100%間に合っている)。

というわけで今回は、約束の時間に間に合うためにいま私が実践している方法をシェアする。嘘くさいけどほんとだし、ALTSLUMに限らず、快適に生きるための手段は惜しまずシェアするが私のインターネットの活動方針なので。
あと役に立つかどうかは不明だけれど、それまで実践してた遅刻対策も一応書き留めておく。

約束の時間に間に合う方法

私が実践している方法には5つのステップがある。

(1)何時何分に玄関を出れば走らずにバス停に(駅に)着くかを考える

(2)その時間の5分前を、あとは玄関で靴を履いて出るだけになっていたい時間として設定する

(3)「あとは玄関で靴を履いて出るだけの状態」とはどんな状態か考える

(4)2で設定した時間と3で考えた状態を口に出すか文字化する

(5)やってみる

以上(五つ目のステップは絶対必要なのだがどう書けばいいのか迷った末にこうなった)。

この方法のミソは、乗りたいバス(電車)の時間を行動の目安にするのではなく、玄関を出られる状態になっていたい時間を行動の目安にするところにある。

四つ目のステップを具体的にイメージしてもらうために、ゴミ箱からメモを掘り起こしてきた。

○9時15分にはゴミ袋を持ってリュックをかつぐ(○はメモに搭載されているチェック機能)
ステップ4の具体例

家を出る時間を決めても間に合わなかったのに、なぜその前段階の時間を決めただけで間に合うようになったのか。考えてこなかったけれど、せっかくなのでこの機会に考えてみることにした。

なぜいつでも家を出られる状態の明確化が有効なのか

まず、リュックをかつぐだけでも意外と時間はかかる。かばんを持つぐらい30秒もかからないでしょ、と思っていたが甘かった。慌てんぼうかつ忘れんぼうの私は、リュックをかつがずにマンションの階段を駆け降りたところで、あり得ない身軽さに気づいて階段を駆け戻ったことが今年の4月に入ってから3、4回ある。あれはすごい時間のロスになるし、気持ちも息切れしてしまう。

次に靴の問題だ。私は靴下を履いたときの足先の蒸れる感じが苦手なので、基本的には素足にサンダルで出かけている。ところが私が今年の4月から通っている就労移行支援事業所には「足の指が見える靴(サンダルなど)を履いてこないこと」という規則があるため、靴下とスニーカーを履いて行かねばならない。時間に余裕のあるときでさえ忘れてしまうその規則を、時間ギリギリのときに覚えていられるはずがない。玄関を飛び出してバス停まで走っている途中、私はふと足先に気持ちよく風があたっているのに気がついて止まる。事業所には「体調が悪くて靴下の着用が大きな負担になるときはサンダルを履いてきても良い」といわれているが、遅刻しそうなときはサンダルを履いてきても良いといわれているわけではない。私は走って家に戻り、バスを逃す。
さきほど載せた画像にはスニーカーのことは書かれていないが、おそらくこの日は間違えずスニーカーを履いて出られたと思う。しかし今後もそううまくいくとは限らないので、これからは「スニーカーを履く」も付け加えた方が良さそうだ。

そしてマスク。さっき画像で載せたメモにはマスクのことが書かれていなかったので、あのメモを使った日の私はマスクを着けずにスニーカーを履いてしまったに違いない。マスクも外出時に必要な装備のひとつなので「あとは玄関で靴を履いて出るだけの状態」につけ加える必要がある。

なるほど。つまり、必要な物を全てカバンに詰め終えて着替えまで済ませていても、そこからリュックをかついで、行き先に適当な靴(と靴下)を履いて、マスクをつけて玄関を出るのには時間がかかるから、そのための5分間を予め用意しておく必要があるということか。
さらに、忘れやすい装備品も明確化しておくことで致命的な時間ロスを防ぐこともできている。すごい。

約束の時間に間に合う方法の欠点

こんなすごい方法にも残念ながら欠点はある。それは、少し面倒くさいという点だ。

正確にいうと「面倒くさい」はこの方法の欠点というより、私がこの方法を使おうと思ったときに生じる困りごとだ。なんとなく疲れているとき(というのが私には珍しくない)に自分に目標を立てるのって、なかなか難しくはないだろうか。

地図アプリを開いて乗るべきバスの時間を確認し、そこから逆算して「あとは玄関で靴を履いて出るだけの状態」になっていたい時間をメモする。
たいした作業ではないし、それさえすれば100%の確率(2022年9月13日時点)で約束の時間に間に合うにも関わらず、「まあなんとかなるでしょう」と願ってゲームに勤しんでしまう(2ヶ月ぐらい前からボードゲームアリーナのキューバーズというゲームにハマっている)。
そして案の定、バス停まで走るも間に合わず、悲しい気持ちで駅まで走ることになるのだ。

そうはいってもこの「面倒くさい」さえなんとかしてしまえば、私がこれまで取り組んできた遅刻防止策のなかで今回の方法が一番有効であることは間違いない。

約束の時間に間に合う方法:過去編

私が約束の時間に間に合う方法として自信を持っておすすめできるのは、これまで紹介してきた「玄関で靴を履いて出るだけの状態とそうなっていたい時間を明確化すること」なのだが、この方法が合わない人もきっといるだろう。
目的のためにとれる手段がたくさんあって損することは無い。というわけで私には合わなかった遅刻対策もシェアする。

その方法とは、本命の(ほんとに乗りたい)バスより二本早いバスに乗ると思い込むというものだ。私の遅刻癖的にそれぐらい早めの時間に乗ると思い込んで支度すれば、余裕を持って本命のバスに間に合うだろうとふんだのだ。
しかし、私がこの方法で約束の時間に余裕で間に合った確率はだいたい30%ぐらい(計算して出した数字ではない)だった。以下の失敗談を一例として参考にしてもらえれば幸いだ。

思惑通りにちょうど二本バスを逃して、ちょうど良い時間のバスに乗れたときは、遅刻癖のある自分をコントロールできている感じがして確かにうれしかった。
しかし、遅刻癖の表れ方にはムラがある。支度が滞りなく進んで、本命より二本早い便に乗れてしまうときもあるのだ。そうなると当然だが、目的地に早く着きすぎてしまう。約束の時間に遅れるより良さそうに思えるかもしれないけれど、私はたくさんの人が行き交う場所にいるとみるみる体力が削がれていってしまうので、目的地に早く着きすぎるても困るのだ(待ち合わせ場所を人通りの少ない場所にするという方法もあるが、それってなかなか難しい)。
それなら本命より二本早い便は支度完了の目安時間としてのみ捉えて、実際に乗るバスは自分が乗りたい便にすれば良いのでは、と思って実行してみたが、そううまくはいかない。私の遅刻癖は支度の遅さではなく、自分が家から出るべき時間を甘く見積もっているところにあるからだ。
結果として、私が本命のバスより二本早いバスに乗ると思い込んだ場合、準備はバッチリできているが約束の時間には遅れる、ということが多かった。

まとめ

この記事では以下二つの遅刻対策を紹介した。

・玄関で靴を履いて出るだけの状態とそうなっていたい時間を明確にする

・本命のバスより二本早いバスに乗ると思い込む

約束の時間に間に合いたいと思っていて、自分に合う方法を探している人はぜひ試してみてほしい。

私が遅刻を対策すべきこと/対策できることとして捉えているのは、おそらく幼少期から刷り込まれてきた「遅刻厳禁」という文化のせいなのだろう。部員が一人でも練習時間に遅刻すれば「連帯責任」として部員全員に罰として外周が課されるとか、教員が授業に遅刻した生徒に対して大勢の前で遅刻の理由を問い詰めるとか。遅刻した者を孤立させる方法に富んだ文化圏で成長した私は、それを無抵抗に吸収したというわけだ。

まとめを書いているうちに、自分は遅刻対策を練るより「遅刻厳禁」の文化にこそ抗うべきではないかと思えてきた。遅刻を厳しく断じる文化のせいで起きた事故だってあるのだ。この記事はボツにするべきだろうか。

……ぐるぐる考えた結果、「遅刻厳禁」の文化に抗う方法について迷っている間は掲載してもらうことにした。歯切れの悪さは考え続けている証ということで。